第3回アジア実験動物学会(The 3rd AFLAS Congress in Beijing)に参加し、『日本における実験動物技術者養成と、その資格認定(邦題)』を発表し、実技協の活動の紹介などもしてきました。本レポートでは、AFLAS北京大会参加報告の本編に入る前に昨年、池渕支部長と筆者で参加した『第5回中国北方八省実験動物科学技術年会』の報告時から、今回の北京訪問までの期間の中国との交流状況について記す。
一昨年の『
第5回中国北方八省実験動物科学技術年会』参加レポートの末尾に、『出来れば次回は来年の仙台で彼らと再会したいものだ』と記した。中国医大の王教授とはその後も連絡をとり、彼等は仙台でのJALAS&JAEATの合同大会に参加すべく来日を検討されたが、種々の事情で5月の仙台大会の時期に来日する事は難しい状況となった。しかしながら王教授は当初の目的通りに遼寧省実験動物学会と日本の実験動物・動物実験に携わっている方達との交流を実現すべく、5月の仙台大会とは別日程にて日本を訪ねるスケジュールを模索された。そして来日は昨年4月に実現し、中国医科大学と大連医科大学を中心とする7名の訪日団がやってきた。本来であれば関西支部の皆さんには彼等の来日をアナウンスし、この貴重な交流の機会をより多くの方々と共にしたかったが、旅程の詳細がギリギリまで二転三転した事などから、定まった予定として支部内にアナウンスする事が出来なかったことをご容赦頂きたい。
さて、二転三転した後に旅程が定まり、彼等は無事4月11日に関西空港に到着した。訪日団の構成は下記の通りである。日本側は筆者と池渕支部長の2名で対応した。
遼寧省科学技術庁
劉 健(男性)
中国医科大学研究所
肖 玉平(男性) 張 淑蘭(女性)
中国医科大学実験動物部
王 禄増(男性) 史 暁萍(女性)
大連医科大学実験動物センター
王 靖宇(男性) 高 文婷(女性) (敬称略)
7名の中で日本語を話す事が出来るのは中国医大の史先生と、大連医大の王先生の2名である。中国医大の肖先生については、日本語は話せないが英語でコミュニケーション可能、それ以外の4名は中国語オンリーなので、前述の方々が日本語を中国語へ、英語での理解を中国語へという手法でコミュニケーションをとっていった。
一行の関空到着は昼であった為、午後は大阪市内を案内し初日はリラックスして頂く事とした。本来の目的である実験動物に関しては、翌日に筆者の勤務先である千寿製薬の研究所を見学して頂き、質疑応答なども含めて意見交換・交流の場を持つ設定とした。大阪市内観光では大阪城、道頓堀などを訪ね、大阪城では見ごろの桜を見て頂き、道頓堀では閉店前の最後のお勤めをしている“くいだおれ太郎”とも記念写真を撮って頂いた。宿泊先は天王寺都ホテル(大阪市南部)。夕食は“しゃぶしゃぶディナー”とし、彼等のフランチャイズである中国東北部の“火鍋”(huŏ guō)と
の違いを堪能していただいた。“しゃぶしゃぶディナー”は最初こそ、遠慮気味によそ行きの態度でおごそかに始まったが、10分も経たないうちに、盛大な活気に満ちた宴となった。昨年の大連で“白酒”(BaiJiu)の呑みすぎで酔態をさらした私としてはリベンジの場であったのだが、“白酒”か、“日本酒”かの違いではなく所詮、筆者如きが彼等を酔い負かそうと思うのが間違いで、今回も彼等の方が上手であり、不沈艦の池渕支部長のみが立ちはだかっていた。
さて、2日目は本来の実験動物関連に戻っての交流である。
日程・時間の関係上、あまり遠くへ行く事が出来ないので、前述の如く筆者の勤務先である千寿製薬の研究所を見学して頂き、動物実験施設の管理・運営体制などについて意見交換する場を持った。彼等は動物飼育室、動物実験室、洗浄室、飼育機材などを熱心に見ると同時に、頻繁に質問を浴びせかけ、ケージラベルや各種記録用紙などは見本を貰う事が出来ないかと要望を出し、ラボツアーは前日の道頓堀散策以上に熱気を帯びて予定の時間を超過していった。
2日目の夜は、神戸にて明石海峡名物のタコならぬ、穴子料理を堪能して頂いた。この夜も中国医科大学の肖先生と張先生の二人が、誰に教わったか『一気』を連発しながら私に酒を注ぎ、二夜続けて“酒”では負けてしまうという酔態をさらした筆者であった。
一行はこのように、短い時間ではあったが関西の地を訪れた。関西支部全体での歓迎は出来なかったが支部を代表して、池渕支部長と筆者が可能な範囲での対応をさせて頂いた。見学を許容し柔軟に対応をしてくれた筆者の勤務先である千寿製薬研究所の所長、研究開発部門長の専務にもこの場をお借りして支部としてお礼を申し上げたい。
関西を後にした一行は仙台へ向かい、東北大学を訪ね、笠井教授を始めとする東北大学の方々と交流し、その後、東京入りし慶応義塾大学を訪ね、前島名誉教授を始めとする慶応義塾大学の方々とも交流の場を持った後に成田から帰国の途についた。王教授は私との別れ際に『我々は仙台での日本実験動物科学技術2008には参加できないが、仙台には中国実験動物学会を代表して中国医学科学院実験動物研究所の秦川教授が参加するからよろしく!』という言葉を残して帰国された。秦川教授は
第3回アジア実験動物学会(The 3rd AFLAS Congress in Beijing)の大会長である。
以降、
第3回アジア実験動物学会参加報告へ続く・・・