ウサギの飼料に対する嗜好性
1,粗蛋白質含量の違いと粒径の違いによる選択嗜好性
○三浦隆,吾郷昭夫,権田辰夫(島根医科大学医学部附属動物実験施設)
[目的]
ウサギにおけるエサの嗜好性は,他の動物種と比較して好き嫌いが激しく、そのため飼料を変えたことによる摂食拒否はよくみられる現象である。この場合は,体重の減少をきたし死亡につながることがあるので、固型飼料の銘柄を変えてみるなどの配慮が必要になってくる。
そこで、今回我々はウサギの飼料に対する嗜好性を決定する要因を求める目的で1)飼料成分の違い、2)飼料粒径の違いによる選択嗜好性を検討したので報告する。
[材料および方法]
供試動物は,体重2kgの日本白色種系雌12匹を使用した。
供試飼料は、飼料成分の違う2種類の固型飼料と粒径が異なる2種類の固型飼料の合計4種類を使用した。
実験1は粒径が同一で飼料成分の粗蛋白質が22.0%のA飼料、17.3%のB飼料の2種類を用いた。
実験2は飼料成分が同一で粒径が5mmのC飼料と、3mmのD飼料の2種類を用いた。実験は2種類の飼料を同時に与え、2者選択方式で摂餌量を週4日間測定した。各実験には6匹ずつ使用し,実験期間は5週間とし,体重は週1回測定した。
[結果]
実験1では、飼料A:Bにおける期間中の摂取率は飼料A90.9〜95.2%、飼料B4.8〜9.1%となり摂餌率に大きな差が認められた。実験終了時の体重は3.08±0.16sとなった。
実験2では飼料C:Dにおける摂餌率は飼料C44.7〜52.9%、飼料D47.1〜55.3%となり、大きな差は認められなかった。
これらのことから、飼料成分においては粗蛋白質含量の多いものが嗜好性が高く,粒の径については嗜好性に影響がないと考えられた。