ラット末梢循環障害モデルの作製と
プロスタグランジン製剤の効果
○木村恵人、美濃部典子、長尾友子、堤 宏禎(滑ツ境バイリス研究所)
末梢循環障害とは末梢の動静脈で起こる血液循環障害で、臨床上の末梢循環障害に含まれる疾患には閉塞性動脈硬化症(ASO)や閉塞性血栓血管炎(TAO)、また糖尿病や血管機能障害に由来する種々の病態がある。我々は、これら疾患の治療薬を薬効評価するうえで、種々の病態動物や実験的末梢循環障害モデルを用いて試験を行っている。今回、実験的末梢循環障害モデルの一つであるラウリン酸誘発末梢循環障害モデルの作製法とこれら病態の治療薬であるプロスタグランジン製剤(PGE1製剤)の効果について報告する。
Wistra系雄性ラット(日本エスエルシー)を用いて、ラウリン酸(10mg/mL)を大腿動脈内に投与することで末梢循環障害モデルを作製した。ラウリン酸投与6時間後には指または足全体に暗赤色の浮腫を生じ、24時間後には爪及び指先の黒化が認められた。ラウリン酸投与7〜10日後には指の壊死、ミイラ化がみられ、一部の個体において指の脱落が認められた。
プロスタグランジン製剤(PGE1製剤)をモデル作製前又はモデル作製後に投与することで、ラウリン酸で誘発した末梢循環障害に対して病態の進行を抑制し、プロスタグランジン製剤の末梢循環障害に対する効果を確認した。