Pasteurella pneumotropicaユーザーサイドからみた見解
森井清志、佐藤良一、○櫻井康博、石綿清、仲村信夫
(山之内東京テクノビジネス鞄ョ物管理グループ)
Pasteurella pneumotropica(以下Pp菌)に関する専門的見解につては、専門外の私より他の先生方にお
任せし、私は「ユーザーとしてPp菌をどのように考えていくことが望ましいのか」ということに主眼を置いてお
話しようと思います。
ご存知のように、ここ数年の間に日本の三大ブリーダーのうち二社で、動物種こそ異なりますがPp菌感染
事故が報告され、我々製薬企業は大きなダメージを被りました。最初はマウスで、昨年はラットです。弊社で
は、部門は異なっていますが両方の影響をまともに受けましたので、実験者からは苦情が殺到し、対応に苦
慮したことは記憶に新しいところです。
マウスの場合はPp菌陽性、陰性の判断が錯綜し、ラットの場合は微生物学で学んだ溶血性と異なるのに
Pp菌と同定されたと報告を受け、微生物学素人の私にとって実験者にPp菌陽性と判断されたその正当性を
理解させるのに非常に苦慮しました。そこで素人ながら考えたのは、「免疫不全動物以外では、複合感染し
ない限り殆ど発症しないPp菌は、緑膿菌のようにカテゴリーDにできないものか」ということでした。そのよう
な話をあちこちでしておりましたら、関西支部の重鎮から「好きなことを言ってよいから鳥取に遊びに来ませ
んか」という甘い囁きに誘われて今回お話させて戴く事になりました。
私は、免疫不全動物以外では、複合感染しない限り殆ど発症しない点ではPp菌と類似性のある緑膿菌で
一度疑問に感じたことがありました。とある研究機関から、弊社より特殊動物を納入したいのでICLASで検査
して欲しいと言われ、緑膿菌は(+)であるがそれ以外の検査項目はすべて陰性であることを報告しました。
ところが、その施設では過去緑膿菌を検査したことがないので、自施設の検査結果を見てから納入の是非
を判断するとのこと。結局、その施設では緑膿菌は検出されなかったので、緑膿菌を除去しろとの要請を受
けました。
これと同じようなことが一連のPp菌の感染事故やパラIIIウイルス抗体陽性動物においても起こっていると
の情報を得ていました。個人的にユーザー側の対応にも疑問を持つようになり、私たちユーザーはどう対処
することが望ましいのか、製薬企業のみならず大学や研究機関にどう対応すべきなのかアンケートを実施し
ましたのでその結果をご紹介し、「ユーザーとしてPp菌をどのように考えていくことが望ましいのか」という私
個人の考え方をお話しして皆様のご批判を仰ぎたいと思います。忌憚なきご意見を頂戴できれば幸いです。