ウサギの頸部動脈、心採血の併用による全採血の検討


 ○財津 拓治、小松 貫太、竹之下 誠 (潟Pアリー 和歌山研究所)

【はじめに】当施設では、ウサギポリクローナル抗体作成の受託をおこなっており、確実かつ可能な限り血液を多量に採取することが求められている。また担当者からは、初級者でも簡単にその技術が取得でき、なおかつ採血にようする時間の短縮が求められている。今研究では簡便に採血するための伊藤らの報告しているバタフライ針を使った方法を改良したストッパー付バタフライ針を用いた頚部動脈採血法、さらに採血量を増加させる方法としての心採血の併用について検討を行ったのでここに報告する。

【材料と方法】採血用バタフライ針として18G×3/4incにテーパーに加工したシリコンチューブを装着したストッパー付バタフライ針、同バタフライ針のみ、コントロールとして通常のカニューレ法では静脈用カテーテル6Frを用いた。2.5〜3.5Kgのウサギ(NZW)をネンブタール麻酔を施す。頚部の皮膚を正中線で切開し頚動脈を露出させる。頚動脈に各バタフライ針もしくはカテーテルを挿入し、その採血量及び一連の作業に要した時間を測定した。この採血終了後、開胸により心臓を露出し直接採血を行い採血量を測定した。

【結果および考察】カニューレ法に比較しバタフライ針を用いることで初心者でも一検体あたりに要する時間は短縮された。さらにこの方法で採血量はむしろ増加する傾向があった。しかしながらバタフライ針挿入時に血液の飛散がしばしば起こりなおかつ挿入口から血液の漏洩が起こることがあった。これにより血液を無駄にするだけでなく視野がふさがれ針先の調整等が困難になる場合がみられた。そこでストッパー付バタフライ針の使用により血液の飛散及び漏洩が大幅に減少した。またこの方法により採血量が増加した。しかしながら頚動脈からの採血ではどの方法によっても30〜35ml/Kgの採血量であることから、更に心臓からの採血を行った結果、一羽あたり20mL以上の採血が可能であることが示された。今後更に流出速度などを検討することで更に採血量を増加させることが可能と考えられる。