飼育ケージの供給システムの整備


 ○出森 豊、廣畑 剛、松田 宏美 (潟Aスク)
  岡本 明、鍵山 壮一朗、石川 俊憲、田島 優、黒澤 努
                (大阪大学医学部 附属動物実験施設)
 
【目的】大阪大学医学部附属動物実験施設では、遺伝子改変マウスを用いた研究が盛んである。これらの動物は、600ケージを収容する飼育室16室に収容している。このため施設の利用スペースは限られ、効率のよいケージ供給システムが求められている。動物の飼育管理は利用者が自ら行っており、ケージ交換頻度は、原則として週1回である。交換用ケージは、1日約2000ケージ供給しているが、これらは、飼育室前室と通路に準備している。施設のケージ管理は@1日のうちいつでもケージ交換を行えること、A2日分の予備滅菌ケージを保管すること、すなわち災害時、機材の故障時に備えることを目標としている。滅菌ケージ運搬はエレクター製(W)460×(D)1200×(H)1730mmを使用し棚を3段に区切り、125Фのキャスターを装備したものに、無塵布でカバーした台車を用いている。積載ケージ数は約200ケージである。飼育室前室は二つの飼育室を共有し、床面積は、1600×7200mmであり、ケージ保管と更衣用スペースとして使用している。今回は、現行のケージ供給状態を調査し、今後の施設運営の方針が明らかになったので報告する。
 
【材料と方法】前室への滅菌済ケージの供給は在庫数を1日1,2回確認し、不足分を補充している。この補充台車数を毎週1ヶ月間にわたり集計した。これとは別に、滅菌ケージ保管室を設けて、保管台車を飼育室前室と通路への補充を完了した後に、2ヶ月以上にわたり計数し、保管台車数を記録した。
 
【結果】滅菌済TGケージ運搬台車を1室に3台以上供給する日はなかった。しかし、飼育室間における補充台車数の週内変動パターンは大きく異なっていた。飼育室内搬入台車数は1日平均10台であった。また保管室の台車は、常に24台(4800ケージ)以上が在庫されていた。
 
【考察】当施設では、人員不足から、実験動物の飼育管理は、利用者自ら行っており、計画的なケージ供給が困難な状態である。今回の調査により、各飼育室間での補充ケージ台車数パターンは大きく異なったものの、各前室に3台以上補充しなければならない日はないことがわかった。すなわち各飼育前室に準備すべき台数は3台以内で充分であるものと思われた。しかし各飼育室で利用された補充台車数のパターンは異なったが、平均値は10台と安定していたので、全体の保管数を充分確保する必要がある。そこで、保管室の台車数を計数したところ常時24台以上であり、緊急時の準備として2.5日分が保管されていることがわかった。これは、老朽化してきた当施設の現状から災害時,機材の故障時に対する備えが増強したことを意味する。